窓とアニメーション
規則性と違和感による印象の変化
キーワード
- 窓
- 違和感
- 対称性の破れ
背景・目的
現代のビル建築の外観として、左右対称や規則的なデザインが一般的となっている。この傾向は、西洋化の影響を受けた結果であると考えられる。かつての日本では、自然との調和という観点から、非対称的なものに美しさを見出してきた。しかし、明治時代の文明開化に伴い、積極的に西洋文化を輸入したことで近代化が進んだという歴史的な経緯があり、その後の日本の建築にも大きな影響を与えた。その代表例として、東京駅や門司港駅などが挙げられる。これらの西洋的な建築には、シンメトリーが美しいとされる古代ギリシャの美的感覚が反映されており、現代建築においても大きな影響を受けている。ただし、シンメトリーや規則性にこだわりすぎると、単調で印象に残りづらいデザインとなってしまうが、現状として日本にはそのようなビルが多い状況にあると私は感じる。その単調な印象を抱かせる要因を考察したとき、窓の形状や配置が関係しているのではないかという考えに至った。
本制作では、撮影した建物の窓部分に限定したアニメーションを加えることでビルの規則性を破り、それによってビルの印象がどのように変わるかを検証することを目的とする。
アウトプット
- 映像
サイズ:1080×1920px
長さ:30~50秒程度(ループ)
本数:3本
作品
「窓 × 流」 素材:天神ビジネスセンター(画像)
大量生産を行う工場での流れ作業のようなイメージで制作。一定のスピードで繰り返し流すことで、規則的な物や動きに対して感じる「不自然さ」や「不安定さ」を表現した。
「窓 × 生」 素材:大学院研究室(画像)+ AQUA HAKATA(タイムラプス)
心臓をイメージして制作。窓の素材を魚眼レンズのように歪ませることで、素材に人工物を使用していながらも、生物的な印象を受ける違和感を表現した。
「窓 × 積」 素材:九州産業大学 17号館(画像)
窓枠に収まった部分ごとにレイヤーを分け、それがテトリスのように一つずつ落下していくイメージで制作。ガラス部分と一緒に後方にある景色まで動くという点も、いい意味での違和感を感じさせる映像となった。最後に全てのレイヤーが一気に落下することで、全体としての単調さを緩和した。
スケジュール
4/16:テーマ決定
4/23:調査及び試作の制作
4/30:ビルの撮影
5/7:画像・映像の編集
5/14:ブラッシュアップ
5/21:発表
参考
- After Effects 用語集
https://vook.vc/terms/After%20Effects%20%E7%94%A8%E8%AA%9E%E9%9B%86
進捗記録
2024.05.21
メモ
- p5.jsは、setup + drawで構成される。
- ぼかしによる抽象画。
2024.05.14
制作
素材:九州産業大学 17号館
窓枠に収まった部分ごとにレイヤーを分け、それがテトリスのように一つずつ落下していくイメージで制作しました。ガラス部分と一緒に後方にある景色まで動くというところも、いい意味での違和感に繋がっているように思います。最後に全てのレイヤーが一気に落下することで、全体としての単調さを緩和しました。
2024.05.07
制作メモ
「窓は内側と外側の景色が階層となる」
「窓は内側と外側を繋ぐ」
- プライバシー面での窓
- 簾
- 縁側
- 言語による捉え方の違い
- 窓とWindowの違い
- 様々な国での窓の呼び方
- 窓に対する価値観
- 窓に関する言葉・表現(序論などに記載できる)
- 「目は心の窓」
人の目というものはその人の心の裡や本性をそのままに表すものだ、という意味合いのことわざ。(Weblio国語辞典) - 「破れ窓理論」
窓ガラスを割れたままにしておくと、その建物は十分に管理されていないと思われ、ごみが捨てられ、やがて地域の環境が悪化し、凶悪な犯罪が多発するようになる、という犯罪理論。(goo辞書)
- 「目は心の窓」
- 窓に関する小説・書籍
- メインビジュアルを関連するのものに変更
- 制作した映像を並べたもの
- Gemini
- Googleが運営するチャットAI
- Googleが運営するチャットAI
その他メモ
- プロジェクトをする際はWikiを立ち上げると情報共有しやすい。
- PukiWiki(学科サイトや研究科サイト等に使用)
- PukiWiki(学科サイトや研究科サイト等に使用)
2024.05.07
メモ
- サカナクションのライブ演出
丸いガラス越しに撮影した映像。ガラス部分だけを切り抜き情報を制限することで、見せたいものを明確にする。被写体深度を浅くすることでガラス部分に滴る水滴にフォーカスを当て、奥の風景はあえてぼかしている。
当初は広角な構図の素材を採用する予定だったが、範囲を狭めることで伝えたいことを明確にする。
試作 ※2024.05.13更新
CC Lensを適用して窓の素材を歪ませることで、人工的な素材を使用していながら生物的な印象を受ける映像に仕上げた。
試作 ※2024.05.06更新
2024.04.30
メモ
- 実際に撮った映像をコラージュ
- 窓を開ける映像
- 水面の映像
2024.04.23
ビルの印象
- 冷淡
- 人工物、無機物は感情を持ち合わせない
- 人工物、無機物は感情を持ち合わせない
アイデア
- 窓の色を変化させる
- ビルの窓を暖色に変化させることで冷淡さを緩和。
- 窓を色の彩度を上げる。
- 無機質さの緩和。
- 窓を点滅させる
- 視点の誘導。誘目性。
窓の場所を移動させる窓を拡大縮小させる
参考
- collage artist and animator:Adam Hale
- WIRED
試作
色の変化:一部の窓を暖色にすることで冷淡な印象を緩和。
点滅:視線の誘導。
メモ
- Google Map ストリートビューの使用
※モディファイした場合の著作権について
https://about.google/brand-resource-center/products-and-services/geo-guidelines/#street-view - Wikimedhia commons
- 画質にこだわりすぎない
2024.04.16
試作
試作に限り、素材としてストリートビューのスクリーンショットを使用し制作。Photoshopの生成塗りつぶし機能で窓を部分的に削除し違和感を表現した。
- 試作1
互い違いに窓を削除することで規則性を保ちつつ違和感を表現。
- 試作2
一つの窓だけ塗りつぶしで削除することで不均衡さを表現。
違和感とは何か?
- ポジティブな印象
- 記憶に残りやすい
- 目を引く
- ネガティブな印象
- 調和を失った
- 不安感
規則的とは何か?
- 整っている
- 綺麗
- 美しい
- 怖い
- 不自然
- 人工的
完璧・完全とは何か?
- 満場一致のパラドックス
全員の意見が一致していると、逆にその意見の信頼性が下がる現象を指す。- P・F・ドラッカー『経営者の条件』
「成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」
- P・F・ドラッカー『経営者の条件』
キーワード
- 対称性の破れ|Broken Symmetry
もともとこの言葉は、高エネルギー下で物質が粒子と反粒子に分離する際、本来同等であるはずのそれぞれの振る舞いに違いがある(対称的でない)ことを意味する物理学用語。(OpenSquareJP)
- エントロピー|Entropy
無秩序の度合いを表す量のこと。
- フォン・レストルフ効果|Von Restorff Effect
似た要素が多く並んでいる中にひとつだけ異なる要素があると、その要素が一番記憶に残りやすい心理現象のこと。(ペイジのUIラボ)
- ゲシュタルト崩壊|Gestaltzerfall
知覚における現象のひとつ。全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象。(Wikipedia)
- タイポグリセミア|Typoglycemia
文章中のいくつかの単語で最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても正しく読めてしまう現象。(Wikipedia)
参考
- ビルと違和感
2024.04.09
キーワード
- 建築物
- 規則性
- ずれ
- ぶれ
- 違和感
アウトプット(候補)
- 画像
- 映像
- シネマグラフ
参考
- フォトグラファー Nina Nayko
- イラストレーター 嶋田里英