デザイン総合研究
画像の重ね合わせによる時空間情報の曖昧化と思考の促進
- Keywords:Symmetry breaking, Layer photograph, High resolution of society
- 山田洸太
背景
- 社会の高解像度化
近年、技術の進歩により、映像や写真、オーディオの高解像度化が進んでいる。これは、実際の映像や音を忠実に再現するという意味では画期的な技術だ。しかし、この高解像度化の波に反して、フィルムカメラやコンデジ、レコードなどの低解像度の媒体が再び注目されている。最近、若者の間で頻繁に使用される「エモい」という言葉が象徴するように、現代の情報に溢れる社会に疲弊した人々がノスタルジア的な感情によって得られる安心感や温もりを求める傾向があるのではないだろうか。
さらに、社会の高解像度化を語る上で欠かせないものとして、SNSが挙げられる。SNSによって、ユーザーは私生活や思想を簡単に発信できるようになった。これも一種の高解像度化であると私は考える。近年では、自分自身と他人の比較によって気疲れする人が後を絶たず、デジタルデトックスという言葉が生まれるほど深刻な社会問題となっている。
- 想像する機会の減少
アナログメディアが主流だった時代、インターネットが発達した現代に比べて、人々が自ら想像することが重要視されていた。アナログメディアは不完全な情報が多く、それを補うために想像力を働かせることが求められ、これが考え方を整理する力を養う環境として適していたのではないだろうか。しかし、この時代のメディアを深く理解するためには、一定の知識やスキルが必要である。
一方、デジタルメディアが発達した現代では、誰もが簡単に自身の考えや意見を発信できるようになり、情報は膨大に溢れている。その結果、自ら想像することよりも、自分の考え方に近いものを取捨選択することが重要視されるようになった。
デジタルメディアは一見、情報が十分に満たされているように感じられ、すべてを理解できたかのように錯覚しがちである。しかし、実際には、誤った情報や偏った意見が混在しており、それを見極める力が必要とされる。
このように現代社会では、情報を見極める力が重視される一方で、自ら考える力が軽視される傾向がある。さらに、興味に基づいた情報ばかりを目にしたり、同じ価値観を持つ人々との交流が増えることで、視野が狭くなり考え方が偏りやすい環境とも言える。
これらの要因によって、情報の受け手側の参与性が低下し、結果的に想像力が衰えているのではないかと推測した。
- 他人の行動への執着
例)SNS、週刊誌、位置情報共有アプリ etc.
目的
- 社会の高解像度化へのアンチテーゼ
一部映像素材における情報の解像度を下げることで、現代社会の高解像度化に対するネガティブな感情を作品に昇華させる。
- 思考の促進
画像を重ねて時空間情報を曖昧することで、鑑賞者が情報の補完してもらう。そのために思考を促す作品を制作する。
- 印刷と3DCGの比較
アナログとデジタルで作品を展示することで、鑑賞者へ与える印象の変化を比較する。
アウトプット
研究計画
参考
最後に
2024.11.14
サイトの更新
新規ページ作成
参考
週末、アジア美術館で行われていた写真・映像メディア学科のゼミ展『すきま』を鑑賞してきた。そこでは、一部が破れた写真を前方に配置し、その隙間から後方に配置した写真が見えるという階層を意識した作品が展示されていた。何か参考になるのではないだろうか。
アイデア
- ビルの幾何学的な模様にコントラストの高い画像を重ねる
メモ
- 物理的に重ねた場合に現法混色となるため、重ねれば重ねるほど色の明度が下がり、実際の色彩を表現するのは難しい。一部の画像をモノトーン処理をする対策も必要。
- 最初の試作では、描画モードをオーバーレイで行っていたが、物理的に重ねた時とは異なる結果となってしまう。これを防ぐためPhotoshop上の描画モードは乗算で試作を制作をする。
2024.11.07
サイトの更新
OHPフィルムの保存法
- 印刷後のOHPシートどうしは重ねないようにする
- 重ねて保管する場合は、間にコピー用紙などの普通紙を入れる
購入候補リスト(販売元:Amazon)
※コクヨの製品は全て在庫切れ。入荷時期も未定。
メモ
- 画面遷移図
サイトマップは空間、画面遷移図は時間を表す。
- 文系論文 参考
フィードバック
- モーショングラフィックス
黒い背景に白い正方形を一つずつ並べていく、積んでいく映像。
少しずつ画像が浮かび上がってくる。
2024.10.31
OHPフィルムへの印刷
明るい画像に関しては、想定してた以上に透明度が高く仕上がり、データ上で重ね合わせた時と近い見た目に仕上がった。展示ではライトボックスのように後ろから光を当てると良さそう。
- 課題1
暗い画像に関しては、透明度が出づらく重ねる場合に調整が必要。
対策①:Photoshopでカラーハーフトーンをかける。
→ドットサイズ要検討
ドットサイズ | 仕上がり |
小さい | 明瞭度が上がるが、透明感は下がる |
大きい | 明瞭度は下がるが、透明度は上がる |
対策②:暗めの画像は予めデータ上で重ねる処理をしておく。
→物理的に重ねる部分とデータ上で重ねる部分
- 課題2
プリンター内で部品が紙に触れ擦れたような跡がついてしまった。原因としては、用紙設定を「光沢紙」でプリントしたため、インクの量が多くなり乾きづらい状況にあったことが想定される。
対策①:ヘッドパスの設定から乾燥時間を長めに設定する。
対策②:用紙設定を写真用紙ライト or スーパーファイン紙に変更する。
- 課題3
A4で10枚(1400円程度)と少しコストがかかる。
対策①:A4で2枚の画像を印刷する。(画像サイズが小さいと見づらい?)
対策②:他メーカーのOHPフィルムを検討する。
フィードバック
- 実際に展示する場合、印刷面が裏側になるため画像を左右反転させておく。
- 切り抜くことで重ねる部分とそうで無い部分をつくるなど、表現方法をさらに模索する。
- OHPフィルムやインク等の消耗品に関しては研究費で購入可。
2024.10.24
キーワード
アウトプット案
- 異なる画像を透明のものに印刷し重ねる
アクリルに直接印刷するのは専用の機械が必要となるため難しい。ただフィルムだけでは展示する際に風で靡く可能性がある。透明のフィルムに印刷してアクリル板に貼るのが現実的。さらに多くのプリンタは白色インクに対応しておらず、白い部分が透けた画像になってしまう。写真の調整が必要。
- 上記の案を3DCGで再現する
360度画像として作成することで、リアルでは不可能な展示が可能になる。あくまでもデータ上での成果物になるため、没入感の演出に工夫が必要。選択肢としてVRやARも。
ポジフィルムとネガフィルム
- ポジフィルム(positive film)
- 撮影したものがそのままの色で現像される。
- 現像後、フィルム自体がポジティブ画像となるため、プリントせずに直接鑑賞できる。
- スキャンすると高画質な画像が得られる。
- 色彩が鮮やかでコントラストが高い。
- 撮影時の露出が重要で、現像後の調整が難しい。
- ネガフィルム(negative film)
- 撮影したものとは反対の色で現像される。
- 現像後、プリントすることでポジティブ画像を得る。
- 露出の幅が広く、現像時に調整できる。
フィードバック
- インクジェット印刷
- 重ねる前の画像と重ねた画像をOHPフィルムに印刷する。
→印刷後に画像を重ねた場合に透明感が弱い?
参考:GoogleImage:ポジフィルム
- pngデータとして作成する。
→黒い背景等に被写体を配置するなどして背景透過画像を制作
- 3DCG
- ガラス風の板を配置し、そこに画像をテクスチャとして貼り付ける。
→反射を入れることでガラス感を表現。
- 透明度やオーバーレイ等の効果はPhotoshop上で適応させたデータを使用することで可能。
2024.10.21
サイト更新
山田洸太/社会の高解像度化/限定
- 考えるとは何か。想像するとは何か。
- 考えさせる方法。想像させる方法。
2024.10.17
サイト更新
メモ
- 抽象画における冷たい・熱い
冷たい抽象:幾何学的(例)モンドリアン etc.
熱い抽象:表現的(例)カディンスキー etc.
- 分断された社会
- グローバル化の危険性
世界で効率化、あらゆるモノの規格の統一が進む。
→システムに不備があった場合に全滅する恐れ
- ナショナリズム
グローバル化に反発する形で、世界的に流行。
→内向きな社会、民衆の感情、争いの助長
選択肢が白か黒しか存在しないことで、分断社会を生む。
→想像力の低下、デジタルメディアの発達が原因?
自分と異なる価値観を受容する。想像する力が求められる。
2024.10.10
ワードクラウド
- 窓
- 情報
- 写真
- 高解像度
- インタラクティブ
- 感情
etc.
参考
2024.09.26
参考
2024.09.23
キーワード
コンセプト(仮)
時間軸や空間軸の異なる画像を重ねることで、被写体の時間と空間を曖昧にする。「いつ、どこで撮影されたものなのか?」が曖昧な中で、構図の情報のみが明確な状態を作り出す。採用する構図は放射線構図であり、これは中心に向かって奥行きを強く感じさせる構図である。見方によっては、時間と空間が奥へと無限に続くような感覚に陥る。
- 他人の行動への関心が強い現代人
SNS、週刊誌、位置情報共有アプリ etc.
- 自由そうで制限された社会
コンプライアンス、著作権、ブラック校則 etc.
アウトプット案(仮)
- 複数の透明フィルムに印刷した画像を重ねて配置
- 1枚の透明フィルムに複数画像をオーバーレイで重ねたデータを印刷
※タイムラプス(現実と異なる時間軸の映像)を最背面に配置?
参考
2024.09.21
映像(画像)に透明フィルムに印刷した写真を重ねる。
参考
2枚の写真をオーバーレイで重ねる。
▼
2024.09.19
メモ
- ネガティブな感情 → 作品としてポジティブなものに昇華
- 物質(非量産)とデータ(量産)
- アナログとデジタル
- 日常と非日常のバランス。
- 日常感
家での食事, 街を行き交う人々, 耳を澄ますと聴こえる音 etc.
- 非日常感
外食, パーティー, 旅行, 普段と違う駅で降りる etc.
2024.07.12
メモ
- アーカイブの重要性
- 社会的周縁
周辺に追いやられている人々や、発言を無視されている人々、また、もっとも共有されている規範の定義のなかでは認識されないか、間違って認識されている人々のことである。(『周縁』が生み出す社会変革の可能性|日仏会館)
統計
- 帰無仮説
仮説検定における重要なキーワードに「帰無仮説」があります。仮説検定では「新型は旧型に差はない」という逆の仮説を立てて話を進めます。はじめから否定(棄却)されるべきものとして仮説が設定されることから、その名を帰無仮説と言うわけです。一方、実際に示したい仮説を対立仮説と言います。(仮説検定|OpenSquareJP)
フィードバック
2024.07.05
更新
2024.05.24
メモ
2024.05.17
決まっていること
題材:窓
成果物:映像
表現方法:窓の部分にアニメーションをつける
背景:似たようなビルが立ち並ぶ日本の街並み。デザイン都市。
目的:
調査
用語集
- メタボリズム
機能を固定した建築の永遠性を否定し、生物が新陳代謝して変化・成長するように、建築や都市も、機能などの変化に応じて空間や設備を取り替え成長させるべきであるとするもの。 一九六〇年代に日本の若手建築家グループによって主張された。(メタボリズム|コトバンク)
- フレキシビリティ
一般的には変化に対する柔軟性や融通性を意味し、建築においては、用途や機能の変化、増築や改修、間取りの変化などに対応可能な建物の性質を意味する。(フレキシビリティ|artscape)
2024.05.10
2024.05.03
アイデア
- コンテンツ
キーワード:ビルの窓を額縁ように表現する
- ビルの幾何学的なデザインをループさせた映像素材を合成する。*1
- 左右、上下、斜めなどさまざまな方向に流す。
- 日常の風景を撮影した映像を合成する。*2
- 案1. 一つの窓に限定
窓のフレーム部分ごと切り抜き、それ以外の要素を省く。さらに背景を単色にすることで情報量を減らす。窓ガラス越しに撮影した映像を合成し違和感を演出する。窓にズームしていくと次の窓が現れる。(繰り返しでも可)
- 案2. 複数の窓で構成
窓のガラス部分のみ切り抜き、そこに15秒から30秒程度のものをランダムで表示させる。映像が映ってない窓もあることでより乱雑さを出す。
- Webサイト
キーワード:「カテゴライズ」と「カスタマイズ」
- 自分の好きな組み合わせで映像を楽しむことができるWebサイト制作。
- *1の場合は、ボタンをクリックした際に流れる方向が変わったり、映像を一時停止させたりできる。
- *2の場合は、水や植物、車などカテゴライズし、そのボタンを押すことで閲覧者が見たいものを選択できる。
- クリックした窓の映像が切り替わる。(その場合はループ映像にする)
- カラー、モノクロも選択可。
- レンジスライダーで映像の様々な項目の度合いを細かく調整できる。
→例)画素数を下げると時代感の錯覚を起きる。
- p5.jsで映像を単純化することでイラスト的な表現。
→窓のフレームと相まって絵画のような演出になるのではないか。
→p5.jsではなく、AEで加工・編集する場合は以下の動画を参考にする。
コンテンツ形態
参考
2024.04.26
メモ
- 時間を計測
- インタラクティブな要素とそうでない要素の比較
- buttonをひたすら研究するなど
2024.04.19
用語
- 対称性の破れ
もともとこの言葉は、高エネルギー下で物質が粒子と反粒子に分離する際、本来同等であるはずのそれぞれの振る舞いに違いがある(対称的でない)ことを意味する物理学用語。(OpenSquareJP)
- パリティ対称性の破れ
空間反転した(鏡に映した)ときに物理法則が同じにならないこと、または、その様な状態を言う。(Wikipedia)
- エントロピー|Entropy
無秩序の度合いを表す量のこと。
- フォン・レストルフ効果|Von Restorff Effect
似た要素が多く並んでいる中にひとつだけ異なる要素があると、その要素が一番記憶に残りやすい心理現象のこと。(ペイジのUIラボ)
- 視覚調整
人間の目の錯覚を考慮したデザインの調整のことである。視覚調整の対象になる人間の錯視とは、目から入った情報に対して脳が無意識に補正をかけることで、実際とは異なる知覚を得ることを言う。(広告デザイン業界用語辞典)
- タイポグリセミア|Typoglycemia
文章中のいくつかの単語で最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても正しく読めてしまう現象。(Wikipedia)
- ゲシュタルト崩壊|Gestaltzerfall
知覚における現象のひとつ。全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象。(Wikipedia)
キーワード
メモ
2024.04.12
作業一覧
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