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山田洸太/論文構成 のバックアップ(No.6)


論文構成

山田洸太/デザイン総合研究

画像の重ね合わせによる時空間情報の曖昧化と思考の促進

CONTENTS




序論


はじめに




研究の背景・目的

背景

現代社会においては、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する価値観の広がりにより、瞬時に理解できる明快な意見や情報が重視される傾向が強まっている。短時間で結論に至るコンテンツが支持される一方で、文脈を欠いた“切り抜き”や過激な言動が拡散され、誤解や分断を招く事例も少なくない。さらに、ナショナリズムの台頭や資本主義による格差の拡大といった社会構造的要因により、個人主義的な傾向が強まり、対話や共感を前提とした多様な意見の尊重が難しくなっている現状がある。加えて、フィルターバブルやエコーチェンバーといったデジタル環境の構造的問題も、多様な視点に触れる機会を狭めている。このような社会的背景のもと、特に日本語文化に内包されてきた曖昧さや行間を読む感性は、明確な立場や短絡的な結論を求める風潮によって失われつつある。複雑さや揺らぎを含んだ視点の必要性、そしてそれを表現・伝達する手段として、芸術の持つ役割があらためて問われている。

目的

  1. 曖昧さがもたらす柔軟性や創造性の再考
    スローシャッターやソフトフォーカスといった撮影技法、写真を重ねる多重露光的な加工を用いて、時間や視点における曖昧さや揺らぎを表現する。それにより、単一的な視点や明快な結論に収束しない “解釈の余白”を提示し、写真が「真実を写す」という認識を超え、鑑賞者の想像力を喚起する創造的なメディアであることを再考する。
  2. 受動的な情報消費から能動的な鑑賞への転換
    明快な情報を短時間で消費する傾向が強まる中、写真表現における曖昧さや不確かさは、鑑賞者が自身の内面と向き合い、自由に解釈を巡らせる“能動的な鑑賞”を促すことに繋がるのではないか。本研究ではそのような表現を通じて、思考の柔軟性や想像力を活性化する可能性を探る。





第1章 現状調査


1.1. 写真の二面性とその芸術史における立ち位置

1.1.1. 写真が持つ記録としての機能と芸術表現としての側面


1.1.2. 写真や絵画の芸術史における変遷(ピクトリアリズム等)




1.2. 写真と印象派の関係

1.2.1. 写真の発明と印象派の誕生


1.2.2. 写真の発明と現代における生成AIの共通点


1.2.3. 絵画技法が写真にもたらした影響

1.3. 曖昧さ・グラデーションの重要性

1.3.1. 曖昧さがもたらす芸術表現における可能性




1.4. 先行研究の概観・考察

1.4.1. 曖昧さを扱ったアート作品の事例






第2章 作品の表現手法と制作プロセス


2.1 使用素材と選定経緯

2.1.1. OHPフィルムの特性と選定理由




2.2. 作品構成

2.2.1. レイヤー表現による重なりと奥行きの表現


2.2.2. 配置方法や空間演出




2.3. 視点や角度による印象の変化

2.3.1. 視点の移動が作品に与える意味の変化


2.3.2. 角度と距離による異なる解釈の促進




2.4. 多義的視点の表現の意義

2.4.1. 作品の曖昧さと鑑賞者の解釈に与える影響


2.4.2. 体験としての作品






第3章 作品の考察


3.1. インスタレーション展示の意義




3.2. レイヤー構造による空間性の付与




3.3. 多義的視点による鑑賞者の思考へもたらした効果




3.4. 曖昧さが社会に与える影響と問題提起






第4章 まとめと今後の展望


4.1. 本研究結論


4.2. 作品の社会的意義と今後の可能性


4.3 今後の展開

Webサイトによるインタラクティブ作品






参考文献






資料

成果物の仕様




調査関係資料

(アンケート用紙等)



その他