動画のコミュニケーション効果に関わる インタラクティブ動画と従来動画の比較 〜"サブプロット"の効果を中心に〜
モバイルインターネットの普及、娯楽の大量消費化及びデジタルインターネット技術の発展により、ショート動画産業は急激な変容を遂げ、徐々にソーシャルメディアの主流の位置を占めるようになってきた。特に、2020 年に流行した新型コロナウィルス感染症の拡大に より、多くの産業が停滞に突入することに違い、ショート動画産業にとっては、都会の市場を占めるちょうどいい機会をもたらした。自宅待機や遠隔勤務などの普及により、ショート動画の観覧は多くの人の休憩時間を占めており、ショート動画のユーザー数は、さらに勢い を増し、CNNCの調査では、2022年6月までに、中国のショート動画のユーザー数は9.62億人に達し、利用率は最大91.5%になった。しかし一方で、ショート動画は、オリジナルコ ンテンツの不足やマネタイズの困難さなどの問題に直面している。
そこに登場したのが「インタラクティブ動画」というショート動画の新しいモードである。 インタラクティブ動画とは、ショート動画+インタラクティブアクション(インタラクティブボタン:モバイルではタッチ、PC ではクリック)+ストーリーライン(プロットツリー) を融合したもののことで、動画産業における新たな可能性を秘めた存在として、インターネットユーザーの目に触れるようになってきた。中国では、インタラクティブ動画機能をサポ ートする主なプラットフォームは、Tencent、IQIYI、Mango TV、Youku、BILIBILI などが 挙げられ、日本では、インタラクティブ動画機能をサポートする主なプラットフォームはミ ルなどが挙げられる。
インタラクティブ動画は、従来動画に物理的なフィードバック(インタラクティブ行為)、プロットへの参加(ストーリー・ライン)、コンテンツの探索を加えた新しいタイプの動画 で、プロットポイントでの選択の違いによって、その後のコンテンツが大きく異なりること で視聴者のビデオ視聴体験は、より豊かなものになる。視聴者はコンテンツの受動的な受け 手から、ビデオコンテンツの方向性が操られる送り手へと変化しするのである。
本研究では、「ユーザーの嗜好度(満足度)」、「理解しやすさ(理解度)」、「覚えやすさ(記憶度)」、「伝送意向(共有動機)」等に関して、従来動画とインタラクティブ動画の相違点を、実験的に検証するとともに。その結果をもとに、今後の地域活性化に寄与すべく、それぞれの動画を制作し、その効果を検証する。
インタラクティブ動画を持つプラットフォームは、国内外に多数存在している。インタラクティブな映像をデザインするために、まず、インタラクティブ動画を機能としてサポートしているプラットフォームについて、動画の制作・公開に各種機能の情報収集を行なった。
WEB検索を行なったところ、中国のプラットフォームが五つ、日本のプラットフォームが一つという結果であった。
インタラクティブな映像機能をサポートする様々なプラットフォームを集めると、以下のような代表的な機能のカテゴリーが見いたされた。
以下、それぞれの用語について説明する。
1)サブプロット:視聴者は自分の立場や好みに応じてキャラクターの行動を選択し、プロットの展開に影響を与え、異なるプロットの内容に入り込み、異なる選択を経験することができる。
2)画面上の情報探索:テキスト、ビデオ、その他の情報コンテンツがメインビデオに追加され、視聴者に自然な没入感で探索を促しガイドする。さらに、視聴者はパノラマモードで画面上の情報を探索することが可能である。
3)マルチビュースイッチング:視聴者は複数のビューを切り替えて、キャラクターや物理的な場所など、さまざまな視点からコンテンツを体験することができる。
4)ゲーミフィケーションの探求:機械解読、宝探し、QTE(クイックタイムイベント)、キャラクターの関係構築など、ゲーム的な要素を映像に加える。
5)Xファクターによるストーリー展開:コンテンツ制作者は、「Xファクター」を使って、長いスパンでの視聴者の一連のインタラクティブな行動を追跡し、視聴者の各インタラクティブな行動の傾向を継承し、最終的には「Xファクター」の累積値の違いで異なるコンテンツをトリガーすることができます。 X-Factorは、長いスパンでの一連のインタラクションを追跡し、それぞれのインタラクションにおけるオーディエンスの傾向を継承するために使用することができる。