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陳嵐清/研究記録 のバックアップ(No.11)


地域活性化に関わる
インタラクティブ動画の可能性


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                                                                        論文構成

                                                                        論文構成3.png


                                                                        タイトル


                                                                        マルチビュースイッチング機能が視聴体験にもたらす効果
                                                                        ーーインタラクティブ動画とノンインタラクティブ動画の比較 1

                                                                        研究記録

                                                                        研究を通じて得たこと(4.16の記録)

                                                                        研究を進める中で、私にとって最も大きな収穫は、「感覚的な思考から論理的な思考への変化」でした。
                                                                        もともと私はとても感覚的な人間で、自分の「好き」や「感性」に基づいて作品を制作することが多く、「なぜそれがそうあるべきなのか?」「なぜそれは他の形ではいけないのか?」と自問することはほとんどありませんでした。
                                                                        しかし、研究には文献レビューというプロセスがあり、そこでは自分のアイデアや仮説を裏付ける根拠や理由を探すことが求められます。
                                                                        つまり、「これはなんとなくそう思うから」ではなく、「過去の研究にもとづいて、そう考える根拠がある」ことを示す必要があるのです。
                                                                        ただし、私は「良い表現」というものは、理性だけでも感性だけでもなく、その両方が融合したところにあると感じています。
                                                                        事前に同じ分野の研究を多く読み込むことで、新たな視点や発想が生まれ、それを検証し、結果をもとに実際のプロジェクトへと反映させていく――。
                                                                        この一連のプロセスこそが、私にとって「研究の意味」だと思っています。

                                                                        評価指標の抽出プロセス

                                                                        (1)各種理論からの借用・抽出(理論統合型)

                                                                        概要:既存の理論(例:UX理論、消費者行動モデル、観光PRモデル等)から、関連する構成要素を抽出し、独自に組み合わせて評価指標を設定。

                                                                        例:
                                                                        UXの「利用可能度」「役に立ち度」「共感度」など
                                                                        Usability(可用性)、Utility(有用性)、Empathy(共感度)
                                                                        AISASモデルの「Attention」「Interest」「Action」など

                                                                        メリット:
                                                                        先行研究の信頼性が高い
                                                                        審査者・読者にとって理解しやすい
                                                                        自分の研究と多角的に結びつけやすい

                                                                        (2)特定理論との一対一対応(理論特化型)

                                                                        概要:ひとつの行動モデルや理論(例えばAISAS、AIDMA、TAM、Flow理論など)を中核に据え、各段階や構成要素と自身の調査項目や評価指標を明確に対応させる。

                                                                        例(AISASとの対応):
                                                                        Attention → 理解記憶度
                                                                        Interest → 満足度
                                                                        Search → 再視聴意欲
                                                                        Action → 訪問意欲
                                                                        Share → 共有動機

                                                                        メリット:
                                                                        論理的整合性が高く、理論的枠組みによる一貫性が保たれる
                                                                        分析・考察が体系的になりやすい
                                                                        審査者に「指標設定の根拠」を明確に示せる

                                                                        (3)経験的アプローチ(データ駆動型)

                                                                        概要:多くの質問項目を設定して調査を行い、因子分析や主成分分析などの統計手法により、内在する構造を抽出。そこから主要因子(=評価指標)を導出する。

                                                                        プロセス例:
                                                                        仮説なしで項目を広く設定(例:20項目)
                                                                        因子分析により4~5個の主成分を抽出
                                                                        各因子にラベル付けし、指標として命名

                                                                        メリット:
                                                                        実際のデータに基づいており信頼性が高い
                                                                        被験者の反応をもとに指標を導出できるため、現場との整合性がある
                                                                        新しい視点の発見が期待できる



                                                                        被験者間実験(between-subjects design)




                                                                        被験者内実験(within-subjects design)




                                                                        評価指標の説明

                                                                        理解記憶度 → 認知処理
                                                                        満足度 → 感性的評価(主観的体験)
                                                                        再視聴意欲・訪問意欲・共有動機 → 行動意図(心理的距離の異なる方向性)


                                                                        理解記憶度:理解しやすい、容易に修得(習得)できる
                                                                        動画再視聴意欲:使うことに夢中になれる(没入感)、よい意味での驚きを与える(インパクト)、私のやりたいことに合っている(親和性)
                                                                        現地訪問意欲:困ったときに頼りになる(信頼性)、リスクなく安心して利用できる(安心感)
                                                                        満足度:目的達成のために必要かつ十分な機能がある(機能の有効性)、仕事や生活を向上させる(効果・効率の実感)、私の力になってくれる(エンパワー)
                                                                        共有動機:人に薦めたくなる(推奨)、愛着を感じさせる(愛着感)

                                                                        MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)

                                                                        満足度:動画コンテンツ(技術的な品質)に対する即時的な評価
                                                                        本研究において、「満足度」は主に動画自体の視覚的および聴覚的な品質に対する視聴者の認識を指す。具体的には、動画の色彩、画質、構図、音響効果、インタラクティブ要素が含まれる。この満足度は、動画の技術的な品質に対する総合的な評価を反映しており、感覚的な観点から測定される。
                                                                        動画再視聴意欲:将来的に実際に行動を起こす意図の反映
                                                                        現地訪問意欲:行動意図

                                                                        異なる心理的過程を示しており、したがって独立した項目として分析することが理論的にも正当化される。

                                                                        「満足度」は本研究において主に動画そのものの品質に対する即時的な評価に焦点を当てている。特に、動画の視覚的な効果、構図、色彩、音声などの要素が観客の認知に直接影響を与え、動画コンテンツに対する満足度を形成する。一方、「動画再視聴意欲」と「現地訪問意欲」は、視聴者が動画内容に対してどれだけ関心を持ち、期待しているかを反映しており、これらは行動意図に関連し、視聴者が将来実際に行動を起こす可能性を示している。

                                                                        地域の魅力度と地域での経験価値が観光客の満足度と再来訪意向に及ぼす影響に関する考察

                                                                        これらの次元には相互に関連性があるが、それぞれが異なる側面を扱っているため、一定の独立性を保つことができると考える。具体的には、満足度は視聴者の動画に対する即時的な反応を示し、「動画再視聴意欲」や「現地訪問意欲」は視聴者の将来の行動に関わる意図を表している。このように区別することで、インタラクティブ動画の各次元がユーザー行動に与える影響をより深く分析でき、特に地域プロモーションにおける応用に貢献する。(PR動画のいいね数と実際訪問量など)

                                                                        ECプラットフォームにおける動画内に商品のリンクを埋め込む事例は、「行動意図」がどのように実際の行動に変換されるかを示す良い例である。この場合、視聴者が動画を視聴している際に、動画内の商品に興味を持ち、リンクをクリックして購入する場合、その行動は視聴者の行動意図の実際の反映である。動画内の商品表示が視聴者の購買意図を喚起し、リンクをクリックして購入することが、その意図が実際の行動に変わるプロセスである。このようなモードは「動画再視聴意欲」や「現地訪問意欲」と非常に似ており、動画内容に基づく関心や期待が行動意図を駆動する。

                                                                        EC動画内の商品リンクのクリックや購入行動は、視聴者の行動意図の明確な例として挙げられる。地域PRにおいても、このような方法を通じて、「行動意図」がどのように動画内容の影響から派生し、動画内容がユーザー行動に与える影響を検証することができるかもしれない。


                                                                        実験素材の説明

                                                                        インタラクティブ動画
                                                                        360度自由視点(0度~360度)を切り替える機能を提供し、視聴者は任意のタイミングで異なる視点を自由に選択でき、より広い視点が体験できる。
                                                                        (9枚写真:被験者の実験様子、上中下・左中右など…必要か?考える中)

                                                                        ノンインタラクティブ動画
                                                                        固定視点(0度⇄360度)を使用し、視点を自由に切り替えることはできない。視聴者は固定視点間で切り替えを行うことのみが可能である。

                                                                        主な違い
                                                                        インタラクティブ動画の特徴は、ユーザーが0度から360度まで自由に視点を切り替えることができる点であり、ノンインタラクティブ動画は視点が固定されており(0度または360度の全景のみ)、視点を変更することはできない。インタラクティブ動画はより高い操作自由度を提供し、視点切り替えなどの機能が可能であるのに対し、ノンインタラクティブ動画は固定視点のままで視聴が行われる。動画に対する操作には、両方とも一時停止や早送り、巻き戻しなどの操作が可能であり、情報量は同じである。

                                                                        本実験において、両方の動画は情報量や映像内容において同一であり、動画全体の再生時間は100秒に統一されている。また、どちらの動画においても、一時停止、巻き戻し、早送りなどの基本的な再生操作は可能である。ただし、本実験はインタラクティブ動画の「マルチビュースイッチング機能」に焦点を当て、その機能に関する比較を目的としているため、視点操作の自由度においてインタラクティブ動画がより高く、視聴者による操作行動の多様化が見られる傾向がある。このため、実際の視聴時間には差が生じる可能性がある。しかし、この視聴時間の差はあくまで視聴者の操作行動によるものであり、動画の内容や情報量には差異がないため、実験の公平性には影響しないと考えられる。実験における全体的な変数は統一されており、比較において公平性が保たれていると認識される。

                                                                        User Experience(UX,ユーザー体験)

                                                                        「User Experience(UX,ユーザー体験)」ということばは,ユーザーインタラクションおよびユーザビリティの拡張概念,利用時の品質の一側面,製品・サービスを超える新しい価値等,様々な文脈で用いられている.UXのことばの普及にあわせて,「モノからコトへ」という新たなイノベーションに対する期待が広がり,ユーザーの体験価値を重視した製品やサービスのデザイン開発が求められている.またUXデザインのプロセスや方法論も整備され,UXもデザイン(設計)するものという認識が広がってきており,自分たちの創出した製品やサービスの体験価値を客観的に把握できるような,UX評価手法が必要になってきている.


                                                                        UX評価指標

                                                                        ユーザー体験(UX)に基づいてインタラクティブシステムを評価する質問紙1





                                                                        消費者行動モデル

                                                                        PR動画の評価指標
                                                                        総社市の移住促進を狙うPR 動画における、テーマ設定と視聴者の移住意向に関する実践的研究消費者行動モデルを参考した

                                                                        ULSSAS(UGC、Like、Search1、Search2、Action、Spread)

                                                                        ULSSAS(ウルサス)とは、ホットリンク執行役員CMO・飯高氏によって提唱されたSNS時代の行動購買モデルのことです。ULSSAS はまず、UGC にいいね(Like)がつくことで、SNS 検索(Search1)が起き、その後、Google や Yahoo!での検索(Search2)が起きて、購買(Action)につながる。その購買行動が SNS で拡散(Spread)され、再び UGC の発生へとつながっていくと述べている。

                                                                        AISCEAS(Attention、Interest、Search、Comparison、Examination、Action、Share)

                                                                        AISCEAS(アイセアス)とは2005年にアンヴィコミュニケーションズの望野和美により提唱された消費者行動モデル。消費者の購買行動の定説とされるAIDMAの法則にインターネット時代の消費者行動を加味したもの。

                                                                        AISAS(Attention、Interest、Search、Action、Share)

                                                                        AISAS(アイサス)は、ネットでの購買行動のプロセスモデルとしてAIDMAに対比されるものとして日本の広告代理店の電通等によりAISAS(エーサス、アイサス)というモデルが提唱された。

                                                                        AIDMA(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)

                                                                        AIDMA(アイドマ)は、消費者の購買行動を理解するための古典的なフレームワークです。 Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取ったもので、消費者が商品やサービスを認知して、購入に至るまでのプロセスを5つに分けて説明しています。

                                                                        地域PRとの関連性

                                                                        総社市の移住促進を狙うPR 動画における、テーマ設定と視聴者の移住意向に関する実践的研究
                                                                        移住行動を促進するためのPR動画について、特に岡山県総社市のPR動画事例に焦点を当てている。研究の目的は、PR動画がどのように魅力的なテーマを設定することで、視聴者の移住意向を高めるかを分析することである。
                                                                        観光地の魅力向上に向けた評価手法調査事業報告書
                                                                        満足度、紹介意向、再来訪意向






                                                                        論文書き方

                                                                        【結果・傾向】を述べる
                                                                        ~という傾向が示されている
                                                                        ~であることが示された
                                                                        データは~を示している
                                                                        ~に有意な差があることが示された
                                                                        【原因・要因】を考察する
                                                                        この結果は~による可能性がある
                                                                        ~が影響していると考えられる
                                                                        ~の要因が関係している可能性がある
                                                                        【中立・控えめに】結論づける
                                                                        ~と考えられる
                                                                        ~を示唆している
                                                                        ~の可能性を示している
                                                                        明確な傾向は見られなかったが、~の兆しがある
                                                                        【補足・注意点】を述べる
                                                                        ただし、本研究にはいくつかの制限がある
                                                                        今後の検討課題として~が挙げられる

                                                                        論文構成