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青木暁光/論文構成 のバックアップ(No.3)


論文構成

不鮮明のデザイン──過剰可視化社会における写真表現の可能性
論文・作品

CONTENTS




第1章 序論:研究の背景と目的

1.1 背景

1.2 問題意識

不鮮明さはこれまで「失敗」や「非専門的」とみなされてきた
しかし、現代の社会環境ではむしろ「必要な曖昧さ」ではないか?

1.3 研究目的

写真における不鮮明さ(あれ・ぶれ・ボケ)を、
現代社会における視覚的デザイン戦略として再解釈する
芸術批評ではなく、社会における視覚伝達のあり方として位置づける

第2章 理論的枠組み:不鮮明さの文化的・デザイン的意義

2.1 不鮮明さの系譜

印象派:感覚の再現(芸術的あいまいさ)
Provoke:体制批判(思想的あいまいさ)
現代:自己保護・逃避(社会的あいまいさ)

2.2 不鮮明さのデザイン的読み替え

明瞭さ=情報の伝達、
不鮮明さ=情報の“制御”や“関係性のデザイン”
「情報を減らす」「距離を設ける」こともデザイン行為として再評価する

2.3 関連理論・概念

メディア論(フルッサー、マクルーハンなど)
現代デザインにおける「余白」「間(ま)」の思想
日本的曖昧さの美学(谷崎潤一郎『陰翳礼讃』など)

第3章 現代社会における視覚環境と可視化の問題

3.1 過剰可視化社会の現状

SNS、監視カメラ、AI顔認識、ビッグデータなど

3.2 可視化による心理的・社会的影響

「見られること」のストレス、匿名性の喪失

3.3 不鮮明さの社会的機能

プライバシー保護、アイデンティティの多層化、曖昧さによる共感性
“ぼかす”ことの意味を社会的デザインとして再定義する

第4章 実証的検討:不鮮明な写真の受容と心理的効果

4.1 目的

不鮮明な画像が人に与える心理的影響や印象を明らかにする

4.2 方法

鮮明な写真とあれ・ぶれ・ボケの写真を比較してアンケート調査
感情(安心・不安・距離感・親密さ)や印象(リアリティ・記憶性)を評価

4.3 結果と考察

不鮮明さが伝達を弱めるのではなく、“受け手の想像”を喚起する
社会的距離や心理的安心を生み出す可能性を示す

第5章 制作研究:不鮮明さのデザイン実践

5.1 制作の意図

現代社会の「見えすぎる」状況に対して、写真を通じた新しい視覚経験を提案する

5.2 制作内容

不鮮明な写真シリーズ(あれ・ぶれ・ボケ)
それを展示するウェブサイト(アート × アーカイブ)

5.3 制作の考察

不鮮明さを「隠す」ではなく「関係をデザインする」手段として提示
観る者が自由に“距離”を選べるような表現設計

第6章 結論と展望

6.1 研究のまとめ

不鮮明さは、過剰可視化社会における「視覚的余白」として機能する

6.2 デザイン研究としての意義

情報をコントロールするデザイン=新しい“見る”の倫理

6.3 今後の課題

不鮮明さのデジタル化(AI・ARなど)への展開可能性
社会実装・教育への応用