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白石尚己 のバックアップ(No.2)


白石 尚己  Naoki Shiraishi

博士前期課程 写真・映像領域 大日方 研究室

研究テーマ

虚構と現実

研究内容・目的

私は大学院の二年間で虚構について研究しようと考えている。なぜ私がそのような考えに至ったのか、それはカメラという必然的に現実を忠実に捉えてしまう道具を使って虚構の世界を写してみたい、という興味が根元にあるからだ。
人間が認知、知覚出来ていなかった世界に足を踏み入れる、そうやって人類は未知を手中に収めて進歩してきた。私がやっていることはその事と比べたら小さな規模の話だが、私もその仲間に加わっているかのようで気持ちを高ぶらせてしまうのだ。

そして学部の四年間、制作を続けていく過程で私は「過去のものにこそ未知が宿る」という考えに至った。私はこれまで人並み以上に様々な年代、様々な種類のカメラを使ってきた自負がある。現在使われている道具というのはデジタル産業の上で成り立っているものが大多数だと思う。カメラというのはそのデジタル産業の恩恵をもろに受けている。二進法で制御されたコンピュータに数値の集合体である画像、人間の手で完璧に制御できるよう数値に制限された道具で未知の領域を覗くことは不可能だと考える。
だが過去の道具、アナログカメラではどうだろうか。現代にあるような精密な計測器は無く、あるのは発明家たちの知恵と技術である。研究が完全に行き届いておらず制御できていなかった時代の道具にこそまだ知られてないこと、つまりは未知が潜んでいるのではないかと考えた。

改めて、私はこの二年間でピンホールカメラなどの過去のカメラや、古典技法であるアルビューメンプリントやサイアノタイプなどを使って研究していこうと思う。