規則性と違和感による印象の変化
現代ビル建築への問題提起
画像:天神ビル
キーワード
背景・目的
現代のビル建築の外観として、左右対称や規則的なデザインが一般的となっている。この傾向は、西洋化の影響を受けた結果であるのではないかと考察した。かつての日本では、自然との調和という観点から、非対称的なものに美しさを見出してきた。しかし、明治時代の文明開化に伴い、積極的に西洋文化を輸入したことで近代化が進んだという歴史的な経緯があり、その後の日本の建築にも大きな影響を与えた。その代表例として、東京駅や門司港駅などが挙げられる。これらの西洋的な建築の特徴としては、シンメトリーが美しいとされる古代ギリシャの美的感覚が反映されており、現代建築においても大きな影響を受けている。ただ、シンメトリーや規則性に捉われすぎると単調で印象に残りづらいデザインとなってしまうが、現状として日本にはそのようなビルが多い状況にあると私は感じた。そこで本制作では、ビルの写真を部分的に加工することで敢えてビルの規則性を破り、それによってビルの印象はどのように変わるかを検証することを目的とする。
アウトプット
スケジュール
4/16:テーマ決定
4/23:調査及び試作の制作
4/30:ビルの撮影
5/7:画像・映像の編集
5/14:ブラッシュアップ
5/21:発表
2024.04.30
2024.04.23
ビルの印象
アイデア
- 窓の色を変化させる
- 窓を色の彩度を上げる。
- 窓を点滅させる
窓の場所を移動させる
窓を拡大縮小させる
参考
- collage artist and animator:Adam Hale
- WIRED
試作
色の変化:一部の窓を暖色にすることで冷淡な印象を緩和。
点滅:視線の誘導。
メモ
2024.04.16
試作
試作に限り、素材としてストリートビューのスクリーンショットを使用し制作。Photoshopの生成塗りつぶし機能で窓を部分的に削除し違和感を表現した。
- 試作1
互い違いに窓を削除することで規則性を保ちつつ違和感を表現。
- 試作2
一つの窓だけ塗りつぶしで削除することで不均衡さを表現。
違和感とは何か?
規則的とは何か?
完璧・完全とは何か?
- 満場一致のパラドックス
全員の意見が一致していると、逆にその意見の信頼性が下がる現象を指す。
- P・F・ドラッカー『経営者の条件』
「成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」
キーワード
- 対称性の破れ|Broken Symmetry
もともとこの言葉は、高エネルギー下で物質が粒子と反粒子に分離する際、本来同等であるはずのそれぞれの振る舞いに違いがある(対称的でない)ことを意味する物理学用語。(OpenSquareJP)
- エントロピー|Entropy
無秩序の度合いを表す量のこと。
- フォン・レストルフ効果|Von Restorff Effect
似た要素が多く並んでいる中にひとつだけ異なる要素があると、その要素が一番記憶に残りやすい心理現象のこと。(ペイジのUIラボ)
- ゲシュタルト崩壊|Gestaltzerfall
知覚における現象のひとつ。全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象。(Wikipedia)
- タイポグリセミア|Typoglycemia
文章中のいくつかの単語で最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても正しく読めてしまう現象。(Wikipedia)
参考
2024.04.09
キーワード
アウトプット(候補)
参考
- フォトグラファー Nina Nayko
- イラストレーター 嶋田里英