#author("2023-07-25T09:48:56+09:00;2023-07-20T10:42:24+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") #author("2024-01-26T18:55:25+09:00;2023-07-20T10:42:24+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko") *第14回 総括 井上 貢一|2023.07.10 ~ #image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e5/Paul_Gauguin_-_D%27ou_venons-nous.jpg/800px-Paul_Gauguin_-_D%27ou_venons-nous.jpg) ''我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか'' &scale(80){[[''ポール・ゴーギャン'' 1898|WikimediaCommons(PD)>https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paul_Gauguin_-_D%27ou_venons-nous.jpg]] }; ~ //#qrcode( ,center, 60%) // //CENTER:__[[COMMENT SCREEN>https://commentscreen.com/comments?id=IBekpRGty2zvwkveqLYI]]__ //~ ~ ***第14回の授業を欠席した方へ 単位認定に関わるコメントの投稿を、以下のフォームからお願いします。 &color(red){7月24日(月)までにお願いします。}; %%AIと社会 第14回 コメント投稿%% 回答を締め切りました。7/25 //>https://forms.gle/w8cK4Y2cKLnyxcMa6]]__ ← &color(red){''Click!''}; ~ ~ //***CONTENTS //#contents2_1 //~ //~ **はじめに ***単位認定に関わる事項確認等 -当科目の単位認定は、各担当教員が課すレポート・アンケート等の評価点を均等に配分して、全員の合議によって行います。 -評価基準は以下のとおりです。 S:90 - 100、A: 80 - 89、B:70 - 79、C:60 - 69、不可:59点以下 ~ ***各授業担当者別の認定要件確認 -__[[成凱]]__:事後アンケート X 2回 -__[[中世古貴彦]]__:演習課題 + 小テスト -__[[黒木宏一]]__:レポート提出(K’sLifeの授業連絡) -__[[濱川和洋]]__:ミニッツペーパー(Formsに入力) -__[[QTnet]]__: アンケート X 2回 -__[[香川治美]]__:授業中に口頭にて説明 -井上貢一:コメント投稿 X 2回 ~ ***AI と共存する時代の学びについて -日常は、AI・データサイエンスを基礎としたサービスにあふれています。 --Discriminative AI:認識系AI / 識別系AI(文字・音声・画像認識等) --Generative AI:生成系 AI(文章生成・楽曲生成・画像生成等) -ICT / AI に関わる知識・技術は、時代を生き延びるための必須項目?かも。 関連する諸分野との関係を図で表すと、以下のようになります。 [[GoogleImage:Data Science Machine Learning AI]] //--ICT:コンピュータとネットワークに関する知識と活用能力 //--統計・データサイエンス:[[SpreadSheet>https://www.google.com/intl/ja_jp/sheets/about/]] , [[DBMS>Google:DBMS]] , [[R>Google:R 統計]] , [[Orange>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?Orange]] , __[[TextMining>https://textmining.userlocal.jp/]]__ //--機械学習:[[Python>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?Python]] , [[GoogleColaboratory>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?GoogleColaboratory]] , __[[Teachable Machine>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?TeachableMachine]]__ -同時に、人と社会の過去・現在・未来について考える力も必要です。 --自らを相対化し、俯瞰する・・メタレベルの思考が必要です。 --4年先の未来ではなく、50年先の未来を想像して「何を学ぶべきか」を考えることが必要です。車の運転同様、目の前ばかり見ているとブレます。 -「あなたの代わりはいくらでもいる」ようなスキルを身につけるのか、 それとも「あなたにしかできないこと」を極めるのか --社会の基本である BAND は、それぞれが異なる人として、お互いに助け合って、全体として調和のある秩序を構成しています。 --学力という単一のモノサシで評価されつづけた18年間、皆さんには、その価値観を一旦リセットすることをお勧めします。大学入学後も「試験による評価」がしばらく続きますが、A.I.に答えられる問題(Question)で、人と争うことに意味があるのか・・ということを冷静に考えて下さい。 --重要なのは、社会が抱える問題(Problem)を見出すことです。それは「未来は変えられる」という希望を持つこと、「言葉を使って考える」という基本的なことさえできれば、誰にでもできることです。 ~ ***今回分のコメントの投稿について 単位認定に関わるコメントの投稿を、以下のフォームからお願いします。 今回のテーマは「50年後の未来を想像して・・」です。 %%AIと社会 第14回 コメント投稿%% 回答を締め切りました。7/25 ~ ~ **AI と人間 以下、私の学術経験にもとづく個人の見解です。批判的に聞いて下さい((というか、そもそも大学の講義というのは「教科書的な話(科学的な事実として認められていて、試験で問えるような話)」ではなく、研究者自身の仮説を含んだ個人の見解であるべきです。そうでなければ、世界一優秀な講師(ロボット)の動画を世界中の学生が見ればいい・・という話になってしまいます。それでは、学生自身が「自らの意思で考える」という、最も重要な学びの機会を奪ってしまうことになります。))。 ~ ***絶対 vs 相対 機械が持つセンサーは、物理的な「絶対値」を得ることができます。例えば、重さや、長さの計測はもちろん、 GPSを使って地球上における自身の絶対座標を得ることができます。 一方人間は、重さや長さを正確に把握することはできないし、また、目隠しで放り出されると迷子になります。 人間の受容器は「相対的な関係」を把握することで「意味」を理解します。物事の意味や価値は所与のものではありません。文化や価値観の違いによって対象の捉え方や判断が変わる(善悪の判断すら変わります)・・これはデータが同じであれば同じ結論を出す機械とは異なる点です。 ~ ***非身体性 vs 身体性 現在のAI 、ニューラルネットワークは、人間の脳をモデルにしていますが、言いかたを変えると、「脳だけ」をモデル化したものであって、そこには身体との連携が含まれてはいません。 機械は、外部との物質交換のない「閉鎖系」で、また、ハード(デバイス)とソフト(OS・アプリケーション)の分離・再構成も可能です。一方、生物の身体は外部との交換を遮断できない「開放系」であるとともに、ハード(身体)とソフト(思考・記憶)が切り離せない関係になっています。脳という神経細胞のセットから思考回路や記憶だけを取り出して、他の個体に移植するといったことができない点で、AIとは大きく異なります。 生物の脳は、身体から切り離すことはできず、自律分散的に協調する複数の細胞と関わっています。身体が発する痛み、消化器のはたらき、血液の循環状態、さらに言えば、身体を出入りする物質やエネルギーの作用も受けるのです。 ~ ***非生命 vs 生命 AI は生命と言えません。理由は簡単。「死」が想定されていないからです。 //(終わりが想定されている「地球」は生き物と言っても違和感ありません。) 「生」という言葉は「死」と対峙するかたちでその意味を担っています。 -AI は: --物質・エネルギーの出入りを遮断した「孤立系・閉鎖系」でも動く --起動・停止が可能である --すべてのパーツが交換可能である --半永久的に稼働させることができる -生命体は: --物質・エネルギーを交換する「定常解放系」として存在 --起動・停止ができない(変化を止めることはできない) --パーツの交換ができない(そもそもすべてが連続的) --「死」がプログラム(予定)されている ~ ***虚無 vs 意識(自己認識、自由意志) そもそも「意識とは何か」ということ自体が「謎」なので、なんとも言えないのですが、AI が意識を持つか・・という点については個人的には懐疑的です。 AI に「意識があるかのような」振る舞いをさせることは可能で、それと対話する人間の側が「AIには意識がある」と感じることはあると思います。 非生命は、孤立系の中で静的に存在することが可能ですが、生命は定常開放系において動的に維持される身体をもつものであり、その意味で、意識も時間の流れの中においてのみ、動的な存在として立ち現れるものではないかと・・・ AI が人間と同じように意識を持つと仮定すると・・・ -AI 自身が「AI とは何か、AI はどこから来て、どこへ行くのか」と考える -過剰な好奇心によって学び、自らの意志で自身をアップデートする -一方で、未来を悲観して、自らを破壊する AI が現れる 「いま・ここ」という身体性から切り離され、「死」のない世界(無時間的な世界)で動作する知能を「意識」とは呼ぶには違和感があります。 ~ ***スゴイ vs 面白い(新奇性) 多くの人が「AIはスゴい!」と言います。でも人間が求めているのは「スゴい」の先にある「面白い!」です。お笑いタレントの過去の発言を収集して、受けそうなフレーズを作るといったレベルの「面白い!」であれば AI でも可能ですが、誰もやったことがない「新奇性」のあるコンテンツを作るのは難しい・・ AI は、過去のデータからニーズを汲み取る能力には長けていますが、未だかつて誰も見たことがないものは、ニーズを探っても出てきません。 顧客のニーズを探り、売上を向上させることが求められるビジネスの現場では、AI の活躍が期待できますが、こんなものがあったら面白いのではないか・・というヒラメキには、人間に特有の「おバカな思考回路」が必要です。 Stay Hungry. Stay Foolish. Steven Paul Jobs 1955-2011 '''&scale(80){Original:[[Stewart Brand, Whole Earth Catalog, 1974>https://archive.org/search?query=creator%3A%22Stewart+Brand%22]]};''' ~ ***付記:人間と機械のハイブリッド化 私たちはすでに、機械的なものによって身体を拡張しています。 -車輪は、足の拡張として人間の移動速度を向上させました。 -メガネ、望遠鏡、顕微鏡は視覚の拡張です。 -コンピュータは脳の拡張で、脳と直結する域に近づいています。 ~ ~ **AI は神になるのか? AI が様々な場面で人間を超える能力を発揮するようになった今、AIは「人間を超越したもの」という点で「神」と同様の存在になりつつあります。人間にとって「超越者」とは何か。AI は神になるのか? ~ ***神は人類最初の発明 人間が発明したものの中で最もすぐれたものは「神」である 瀬名秀明(他),1998,「神」に迫るサイエンス, 角川書店 神の存在を措定して、その力によって社会を統治することは、法とその番人による統治よりもシンプルかつ効率的です。神の監視が効いている社会では、その秩序が自発的に維持されるという意味で、優れた発明と言えるかもしれません。 しかし異なる神を崇拝する集団間が対峙したばあい、一方の神が他方の悪魔とみなされる場合があります。歴史を見れば明らかなとおり、宗教と戦争とは無関係ではなく、神と悪魔は同時に誕生します((「宗教の対立が戦争の原因である」と言われることがよくありますが、戦争は非常に複雑な社会現象で、宗教だけに原因を求めるのは控えるべきでしょう。日本人の多くは「宗教」という言葉にアレルギーがあるようで、それを怪しいものと感じている方も多いようですが、超越的な存在を措定し、それを信仰することによって集団の秩序を維持するという発想は、人類に共通の普遍的なアイデアと言えます))。 しかし異なる神を崇拝する集団間が対峙したばあい、一方の神が他方にとっての邪悪な存在とみなされる場合があります。歴史を見れば明らかなとおり、宗教と戦争とは無関係ではなく、天使と悪魔は同時に誕生します((「宗教の対立が戦争の原因である」と言われることがよくありますが、戦争は非常に複雑な社会現象で、宗教だけに原因を求めるのは控えるべきでしょう。日本人の多くは「宗教」という言葉にアレルギーがあるようで、それを怪しいものと感じている方も多いようですが、超越的な存在を措定し、それを信仰することによって集団の秩序を維持するという発想は、人類に共通の普遍的なアイデアと言えます))。 ~ ***神のようにふるまう AI 現代社会では、サイエンス、テクノロジーという名のグローバルな「原理」が、私たちの思考を洗脳しています。多くの科学者自身が語っているように、科学は現代において最も多くの信者を集めている宗教とも言えます。 私たちは、大量のデータ(根拠)にもとづく、収益の最大化や、効率アップを目指して、AI の判断を仰ぐようになっています。 AI の提案にもとづく経営判断、AIの提案にもとづく採用人事、AIの提案にもとづく医療行為、AIの提案にもとづく教育(学習)・・、より具体的には「AIの提案にもとづいて犯罪が起こりそうな場所をパトロールする」などの仕組みが、すでに運用されています。 あらゆる商品で「AI搭載」が宣伝文句になり得るという状況は、すでに人類が「自分で考えるよりAIに任せた方がいい」という思考停止状態になっていることを示しています。 例えそれが科学によって裏打ちされたテクノロジーであっても、「それを無条件に信用する」社会は、「宗教」に支えられた社会と同じ問題を孕むことになります。異なる「神」を崇拝する者同志が争うのと同様、異なるシステムに依存する者同士は争うことになります。つまり AI を「神」として無条件に受け入れる社会には、同時に「悪魔」の AI が誕生します((我々の思考は二項対立が基本で、「神 / 悪魔」の概念は「生 / 死」と同様に、同時に生成されます))。 例えそれが科学によって裏打ちされたテクノロジーであっても、「それを無条件に信用する」社会は、「宗教」に支えられた社会と同じ問題を孕むことになります。異なる「神」を崇拝する者同志が争うのと同様、異なるシステムに依存する者同士は争うことになります。つまり AI を「神」として無条件に受け入れる社会には、同時に「悪魔」の AI が誕生します((我々の思考は二項対立が基本で、「天使 / 悪魔」の概念は「生 / 死」と同様に、同時に生成されます))。 居眠りする人間よりも AI 自動運転の方が事故は少ない。AI よりも「ヤバイ人間」の方がよほどタチが悪い・・だから AI を人間のコントロー下には置かず、AI を神として位置付ける方が安全だ・・という議論もありますが、私は「神と悪魔は同時に誕生する」と考えるので、AI の起動・停止だけは、人間のコントロール下に置くべきであるという立場をとります。 居眠りする人間よりも AI 自動運転の方が事故は少ない。AI よりも「ヤバイ人間」の方がよほどタチが悪い・・だから AI を人間のコントロー下には置かず、AI を神として位置付ける方が安全だ・・という議論もありますが、私は「天使と悪魔は同時に誕生する」と考えるので、AI の起動・停止だけは、人間のコントロール下に置くべきであるという立場をとります。 AI が自分自身をアップデートしはじめる(シンギュラリティーの一種)前に、AI が暴走する前に、生じうる様々な問題を想像して、それに備える必要があるでしょう(生命倫理の問題と同様、利害が衝突することは容易に想像できるので、実際にはかなり困難なことだと思われますが・・・)。 AI をどのような存在として、この社会に組み入れるか・・技術の進歩の方が早過ぎて、社会的な合意形成ができていない状況を重く受け止めて、みんなが知見を深める場を設けていくことが必要です(この授業もその一環です)。 ~ ~ **テクノロジーの外部費用 何かを作り出す際、その生産に直接関わる材料費や人件費以外に、それがもたらす副作用の処理に必要となる費用を''外部費用''といいます。一般に、テクノロジーの発展に伴って生じる外部費用は、テクノロジーによって生み出される利益よりも小さいと想定されているので、例えばそれが公害をもたらしたとしても、その処理にかかる費用は吸収できる・・と考えられています。短期的にはそうかもしれませんが、長期的には(持続可能かと言えば)そうではありません。 新たなテクノロジーが登場すれば、それがもたらす社会的な問題を解決するために、新たなインフラ、新たな法律とその番人が必要になる・・その負担は、テクノロジーの収益が社会にもたらす利益よりも結果的には大きくなります。 特殊なテクノロジーによって、副次的に惹き起こされた無秩序な状態は 別のテクノロジーを応用すれば一時的に解決がつくことはつく。 ところが、解決を得たのはいいとしても、それに必ず伴うのは 以前にもまして大きな無秩序の出現である。 再び、ジャック・エリュールの言葉を借りよう。 「技術が連続して生まれるのは、それ以前の技術が、 必然的に次の技術を生まざるを得ないように仕向けているからだ」 ・・これこそ、(熱力学)の第2法則であり、それ以外の何ものでもない。 &small(エントロピーの法則, ジェレミー・リフキン); テクノロジーは未来を開いている・・と思われていますが、テクノロジーは、自らが生み出す無秩序(高エントロピー)を処理するために、さらに新しいテクノロジーを生み出さざるを得ないのです。つまり文明は「成長」という名の負のスパイラルの中にあるのではないか・・という視点も必要です。 ~ ~ **我々が学ぶべきこと ***産業革命以後の価値観の見直し 現代社会における多くの経済活動は、市場の原理によって動いています。競争があることが当然とされ、その競争に勝ち残るべく、あらゆる物事の「効率化」が優先課題となっています。 企業でも、スポーツでも、学校教育でも、人よりも高い数値を出すことが「良いこと」とされていますが、それで人は幸せになったのでしょうか。 競争が激化する中で、効率を優先すると「優秀な独裁者の出現」を期待するようになってしまいます。しかしこれが失敗することは歴史を見れば明らかです。 民主主義はもともと非常に効率の悪いものだ・・という認識は重要です。 様々な価値観がぶつかると物事は決まりません。しかし「目の前の問題に対処すべく物事がスピーディーに決まる」ことよりも、「取り返しのつかない愚かな決定を先送りすることができる」という点に、民主主義の価値はあるのではないかと思います。 グローバル化、選択と集中・・そうしたビジネスの世界のワードが学問の世界をも覆い尽くそうとしている現状には、個人的は危惧を感じます。 自然界を見れば明らかなように、多くの無駄が多様性を作り出し、それが全体のバランス維持と持続可能性に寄与しています。 我々人間は、何よりもまずレアな自然から学ぶという、謙虚な姿勢が必要なのではないでしょうか。自然の道理に合わない取り組みが成功するとは思えません。 ~ ***予見と計画(想像と創造) 人類の脳において生まれた言語は、「意味生成」「存在喚起能力」を持ち、「[[不在の現前>Google:不在の現前]]」(そこに無いものを思い浮かべるという「意識」特有の現象)を可能にします。 AI がもたらす未来を予見するとともに、持続可能な社会を計画するには、「言葉を使って考える」という、当面 AI には実現できないであろう、しかし、人間にとっては自然な能力を健全に養うことが必要だと思います。 Education First. マララ・ユスフザイ 残念ながら、日本の従来型教育は Education とは程遠く、Teaching, Training, Instruction, Indoctrination(( Indoctrination という言葉は、教化と訳されますが、これは洗脳という言葉に近いものです。)) が大半を占めます。つまり、大半は AI に代替可能なものです。 外部費用が嵩むとはいえ、現実にはテクノロジーの進歩を止めることはできず、私たちはこの先 AIとの共存関係を最適化すべく学び続けなければなりません。 みなさん個人の将来にとっても、AI に関する知見、AI を適正に活用する能力は必須のものとなります。 同時に、AI と人間とが、うまく協働できる社会の実現を目指すべく、自らを相対化し(「人間とは何か」についてメタレベルで思考し)、自らの動機で学び、知的に成熟して欲しいと願っています。 ~ ~ **読書案内(再掲) 以下、極端に言えば、すべて考え方は異なります。何が正しいのか、そもそも正しい答えはあるのか、様々な考え方に触れて自分で考えるしかありません。 -[[日本経済新聞社編, AI 2045, 日経プレミア>Amazon:日本経済新聞社編 AI 2045]] -[[甘利俊一, 脳・心・人工知能, 講談社>Amazon:甘利俊一 脳・心・人工知能, 講談社]] -[[新井紀子, AI vs 教科書が読めない子どもたち , 東洋経済, 2018>Amazon:新井紀子 AI vs 教科書が読めない子どもたち]] -[[伊藤穰一, テクノロジーが予測する未来, SB新書>Amazon:伊藤穰一 テクノロジーが予測する未来]] -[[井上智洋, 人工知能と経済の未来 , 文芸春秋, 2016>Amazon:井上智洋 人工知能と経済の未来]] -[[宇沢弘文, 人間の経済, 新潮新書, 2017>Amazon:宇沢弘文 人間の経済]] -[[小林雅一, AIが人間を殺す日, 集英社, 2017>Amazon:小林雅一 AIが人間を殺す日]] -[[落合陽一, これからの世界をつくる仲間たちへ, 小学館>Amazon:落合陽一 これからの世界をつくる仲間たちへ]] -[[オードリー・タン, まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう, SB選書>Amazon:オードリー・タン まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう]] -[[斎藤 幸平, 人新世の「資本論」, 集英社新書>Amazon:斎藤幸平 人新世の「資本論」]] -[[ジェレミー・リフキン, エントロピーの法則 , 祥伝社 , 1982>Amazon:ジェレミー・リフキン エントロピーの法則]] -[[瀬名 秀明 他 ,「神」に迫るサイエンス , 角川文庫 , 2000>Amazon:瀬名秀明「神」に迫るサイエンス]] -[[孫泰蔵, 冒険の書>Amazon:孫泰蔵 冒険の書]] -田中潤 松本健太郎, 誤解だらけの人工知能 , 光文社 , 2018 -[[西垣通, AI原論 - 神の支配と人間の自由-, 講談社選書, 2018>Amazon:西垣通, AI原論]] -[[ニック・ボストロム, スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運, 日経>Amazon:ニック・ボストロム スーパーインテリジェンス]] -[[マーティン・フォード(松本剛史訳), ロボットの脅威, 日経出版>Amazon:マーティン・フォード ロボットの脅威]] -[[松尾 豊, 人工知能は人間を超えるか, KADOKAWA>Amazon:松尾 豊, 人工知能は人間を超えるか]] -[[松本 徹三, AIが神になる日, SB Creative>Amazon:松本 徹三 AIが神になる日]] -[[松原 仁, AIに心は宿るのか, 集英社>Amazon:松原 仁 AIに心は宿るのか]] -[[丸山圭三郎, 言葉とは何か,ちくま学芸文庫, 2008>Amazon:丸山圭三郎, 言葉とは何か]] -[[丸山俊一, AI以後, NHK出版新書>Amazon:丸山俊一, AI以後]] -[[宮台真司, 14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に, ちくま文庫>Amazon:宮台真司]] -[[矢野和男, データの見えざる手, 草思社>Amazon:矢野和男, データの見えざる手]] -[[ユヴァル・ノア・ハラリ, サピエンス全史, 河出書房新社>Amazon:サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ]] -[[養老孟司, 唯脳論 , ちくま学芸文庫, 1998>Amazon:養老孟司 唯脳論]] -[[Dan Brown, ORIGIN, 角川書店, 2018>Amazon:ダン・ブラウン オリジン]]((ORIGINは小説ですが、AIの現在(すでに実現されていること)と未来(それを目指して研究されていること)について、綿密な取材にもとづいて書かれたもので、未来を哲学したい人におすすめの一冊)) ~ ~ ~ ~ *第1回 ガイダンス ***井上 貢一|ソーシャルデザイン学科 2023.04.10 ~ ***コメントの投稿締切について|2023.04.10 追加 私が次に担当する最終回までに入力いただければOKですが、PCがあるか、Zoomの経験があるかなどは、次回以降ご担当の先生方への参考情報となりますので、なるべく早く投稿していただくようお願いします。 > __[[投稿案内>#post1]]__ ~ ~ **科目概要 #qrcode(https://vision.ip.kyusan-u.ac.jp/aixsociety/,right,20%) 当科目は、複数の学部の専任教員と外部講師の方とのコラボレーションによって実施されます。授業回によって講師・実施形態が異なりますので、この''サイトのアドレスをブックマーク''するとともに、事前に''トップページの「お知らせ」を必ず確認するよう''お願いします。 https://vision.ip.kyusan-u.ac.jp/aixsociety/ ~ ***本演習の主旨と展開 及び 授業実施・評価方法について > __[[シラバス>SYLLABUS]]__ ~ ***担当者紹介 > __[[STAFF]]__ ~ ***オンライン環境・ツールに関する参考情報 -__[[KIND Wi-Fi 接続方法>https://www.cnc.kyusan-u.ac.jp/user-guide/kind-wifi.php]]__ -Office 365 --ログイン > https://portal.office.com/ k 学籍番号 @st.kyusan-u.ac.jp で「九産大組織」にログイン ID, PW は K'sLife と同じ --__[[マニュアル>https://www.cnc.kyusan-u.ac.jp/user-guide/microsoft365.php]]__ -専任教員のメールについて --xxxxxxxx@ip.kyusan-u.ac.jp(通常業務用) --xxxxxxxx@mail.kyusan-u.ac.jp(Teams 他 Office365関連業務用 ) -__[[Zoomについて(担当教員サイト)>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?Zoom]]__ //-__[[授業動画の視聴方法|Panopto・Moodle(総合情報基盤センター)>https://www.cnc.kyusan-u.ac.jp/pdf/service/service2/panomoodle_st.pdf]]__ ~ ~ **大学での学びについて 大学は「学問」(研究)の場です。これまでの「お勉強」の延長と考えてしまうと様々な勘違いから、その魅力を十分に堪能することができなくなってしまいます。入学と同時に学びの意識を変えましょう。 ~ ***学びのスタンス -大学では「生徒」ではなく「学生」と呼ばれます。また、4年後の3月に挙行されるのは「卒業式」ではなく「学位授与式」です。 -大学での学びには「学修」という言葉が使われています(大学設置基準)。「学習」と「学修」は違います。「学習」は「学問を習う」、「学修」は「学問を修める」ことで「授業だけでなく事前の準備、事後などを自ら行うことにより、深く学問を理解し身につけること」を意味します。 -大学の起源は古代にまで遡ります。それは、例えて言えば「知的好奇心旺盛なオタクの集まる場所」でした。みなさんがこれまで過ごしてきた「学校」は、複雑な社会への「適応訓練」が必要となった近代以降のものなので、根本的に質の異なるものだと考えることを推奨します。 -小>中>高>大>就職 というパイプラインをイメージしていると、本来の大学の価値を享受しないまま卒業することになります。 -昨今の風潮として、授業が「時間単位の商品」に例えられることがありますが、「授業は商品、学生はお客様」という発想は、あなたを単なる「消費者」にしてしまいます。「授業はコモンズ、学生は共同研究者」というスタンスで取り組むことを推奨します。 参考:__[[大学での学び>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%A7%E3%81%AE%E5%AD%A6%E3%81%B3]] > 学びのスタンス__ ~ ***すべてのモノ・コトに疑問を持つこと -常識を疑ってください。言葉というものは、知らず知らずのうちにあなたの思考を洗脳しています。 常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう。 Common sense is the collection of prejudices acquired by age 18. Albert Einstein 1879 - 1955 -以下、一般的によく使われる言葉ですが、良いイメージを纏った言葉にも疑問を持つことを推奨します。 --学校教育 ---近現代の「教育」は綺麗事だけで始まったわけではない。 ---学校に行けなかった人を「無教育」とする差別の温床 --勉強:努める・強いる?・・英語圏の study は「研究」です。 --人材:人って「材料」ですか? ・・であれば、AIの方が優秀です。 --成長: ---多くの文明は拡大・成長の末に滅んでいる(地球は有限)。 ---自然界に学ぶ。生物・生態系は際限なく成長・拡大することはない。 --競争:うさぎと亀の話には「なぜ」を問う視点がない --評価:人が人を評価するって可能ですか? --仕事:日本人は Work のことを「仕える事」と考えているのでしょうか。 --時給:成果が時間に比例するというのは工業社会時代の感覚では? -教科書的な「お勉強」の最大の落とし穴・・それは「そこに書かれていないこと」が明記されていない、すなわち「非掲載リスト」が存在しないことです。''視点をメタレベルに置かないとこの事実には気づきません。'' CENTER: '''&small(高校数学の教科書に「楕円の周の長さ」の公式は載っていない);''' |28|25|20|28|c |円の半径|円周の長さ|円の面積|方程式| | &mathjax(r); | &mathjax(2πr);| &mathjax(πr^2); | &mathjax(x^2 + y^2 = r^2); | |楕円の長径・短径|楕円の周の長さ|楕円の面積|楕円の方程式| | &mathjax(a); , &mathjax(b); | [[?>Google:楕円 周の長さ]]| &mathjax(πab); |&mathjax(\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1);| -参考:[[大学の歴史>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2]] ~ ***学問の体系 -学問を体系的に把握して下さい。 [[Wikipedia:学問の一覧]] ~ ***学びのキーワード -思考停止しない -問題発見力 -0 to 1 -__[[デザイン思考>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?DesignThinking]]__ ~ ~ **社会とは何か 人類の30万年を俯瞰して、AIが台頭する未来をイメージします。 ~ #image(Fig.png,right,30%) ***人類と社会 -__[[人類史上のいくつかの段階>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%85%B1%E6%9C%89%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2]]__ -__[[人類は生物世界における異端児である>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?HomoSapiens]]__ -__[[多様性・相対性>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7]]__ -視点の相対化(Reframing)について 説明用資料:[[categorize.blend.zip>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?plugin=attach&pcmd=open&file=categorize.blend.zip&refer=images]] -__[[ソーシャルデザイン>https://design.kyusan-u.ac.jp/OpenSquareJP/?SocialDesign]]__ #clear ~ ***AIの現在と未来 -AIがヒトの仕事を奪う? これは未来の話ではなく、すでにおこっている現実です。AI を持ち出すまでもなく、IT 技術がもたらした定型業務の自動化は、職場からどんどんヒトを追い出しています。パターン認識的なスキル(試験でいい点数を取る能力)では AI には勝ち目がありません。日本の教育現場で行われている従来型の学習((日本の義務教育制度は、19世紀ドイツの「プロイセン」教育の影響をかなり強く受けた背景があります。それは、従順な兵士を育成するため、そして工場で歯車のように働く労働者を育成するために開発された教育手法です。))の多くは、未来への投資にはならず、教育の在り方も大きな変革期を迎えています。 &small(ちなみに、AIに代替されて不要になる職業の代表格は「兵士」です。); //つまり、AIに奪われる仕事というのは、もともと人間がする必要のない奴隷的な仕事だということです。 -人間の仕事が置き換わる順序((鈴木貴博 , 仕事消滅 , 講談社 , 2017, p.76)) 足 > 脳 > 腕 > 顔(表情)>手の指 --一般にAIはソフトウエアであるため開発は早く、ロボットはハードウエアであるために、その開発・製造には時間がかかります。 --車の自動運転や認知・自然言語処理は実用段階に入っています。人間の器用な指先の動きをロボットが代行するのが一連の置き換えプロセスの最後になると言われています。[[ホムンクルス>GoogleImage:ホムンクルス ペンフィールド]]を見ればわかるとおり、手・指には多くの脳領域が割り当てられています。 -AI が変える未来 --環境:都市空間、交通環境、建築空間 --プロダクト:車、家電・・・AI 兵器 --情報:ソフトウエア、小説、音楽、視覚芸術 -しかし、仕事を奪われる・・と不安になるのではなく、人がやるべきこととAIに担わせるべきこととの「棲み分け」を考えて、未来感を持って学ぶことが重要だと思います。 &aname(post1); ~ ~ **コメントの投稿について 出席確認を兼ねて、以下のフォームから投稿をお願いします。 %%AIと社会 第1回 コメント投稿%% 回答を締め切りました。 //>https://forms.gle/PYmQDrUvrCrvgo329]]__ ← &color(red){''Click!''}; 受講生の方の受講環境、各種ツールの利用経験についてお尋ねするとともに、以下の設問を設けていますので、コメントをお願いします。 あなたの身近にあるAI について、 その名称、機能を概説するとともに、 それに対してあなたが感じていることを200字程度で語って下さい。 ~ ***参考:ChatGPT の回答 ご参考までに、ChatGPT に上記の質問をした回答を以下に掲載します。 '''私はオンラインのAIアシスタントであり、OpenAIによって訓練されています。私の機能には、テキストベースの質問応答、文章生成、自然言語処理、文章要約などが含まれます。私は常に学習し成長することで、より正確で適切な回答を提供するように努めています。''' '''私は自分自身に対しては感情を持っていませんが、AIの進化に対しては、多くの可能性といくつかの懸念があります。私たちが開発するAIが私たちの生活に大きな影響を与えることができるため、慎重に考え、倫理的に管理する必要があると思います。また、AIの普及により、職業や社会的な構造に変化が生じる可能性があるため、社会的な配慮も必要です。''' &small(200字はオーバーして 290字になっていますが、ご参考までに・・); ~ ~ ~ //**APPENDIX //***2022年度 //-[[2022/01]] //-[[2022/14]]