制作概要
3.1作品概要
作品は、日本に滞在する外国人留学生を対象とした、知識・技能の相互交換を目的とするウェブプラットフォームの構築を主題とする。留学生は、言語能力、生活適応、学業、人間関係など、さまざまな課題に直面していることが先行研究および実施したアンケート調査から明らかとなった。本研究では、こうした課題の一助となるよう、留学生同士が自身の特技やスキルを共有・提供し合い、学び合える環境をオンライン上に構築することを目的とする。
本プラットフォームは、ユーザーが自らのスキル（例：語学、料理、IT、文化紹介など）を登録し、他のユーザーとマッチングし交流する機能を備えている。これにより、スキルを通じた対等な立場での学習・交流が促進され、語学力の向上や社会的孤立の解消、異文化理解の深化など、多面的な効果が期待される。
本作品を通じて、留学生が直面する問題の解決に貢献するとともに、学び合いと助け合いを基盤とした新たなコミュニティ形成の可能性を示すことを目指す。
3.2期待される効果
本システムの実装により、以下のような効果が期待される。
まず第一に、語学力および専門スキルの向上である。留学生同士が互いに得意分野を教え合うことで、単なる受動的な学習ではなく、能動的かつ実践的な学びが可能となる。とりわけ、日本語学習者にとっては、実際の会話を通じて表現力や語彙力を高めることができ、語学試験対策としても有効である。
第二に、心理的・社会的支援の強化である。調査結果にも示されたように、留学生の多くは悩みを教師よりも友人に相談する傾向があり、同じ立場にある他の留学生との交流は、孤独感や不安感の軽減につながる。本システムは、共感や支え合いを生むプラットフォームとして、精神的安定にも寄与することが期待される。
第三に、異文化理解および多様性の受容の促進である。ユーザー同士が異なる文化的背景や価値観を共有することにより、多文化共生の意識が醸成される。また、相互の文化や習慣を学ぶことで、将来的にグローバルな人材としての資質が育まれる。
さらに、実社会で役立つ協働スキルの習得も期待される。スキルの交換や共同作業を通じて、対人コミュニケーション能力、問題解決力、そして協調性が自然に養われ、留学生の社会的自立を後押しする。
以上のことから、本プラットフォームは、留学生が抱えるさまざまな課題を軽減し、より実りある留学生活を送るための一助となるとともに、長期的には国際的な人的ネットワークの形成にも貢献する可能性を有している。