吉井 宏平
2014年3月 博士後期課程 芸術研究科 造形表現専攻 修了
- 博士号取得
[制作コンセプト]
- 私は、1987年に福岡市に生まれた。幼少期にバブルが崩壊し、1995年の阪神淡路大震災、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災など私の生きた26年間の社会の変動は多様であり、苦難の連続であった。そんな中、2000年代には、地方の公共事業が圧縮され始め、地方都市の衰退が深刻化していった。それにより地方の商店街のシャッター通り問題や格差社会といった社会問題が表出し始め、私の住んでいる福岡でも中心地を離れるとシャッター通りが目立つようになった。
私は、そのような社会の世相を表した芸術表現のひとつに都市風景画があると考えている。かつて、19世紀ヨーロッパでは印象派が近代化するパリの様子を描き、1940年代の日本では松本竣介が戦時中の時代の都市風景を描いた。それぞれが、その時代の記録であり同時に作家たちの心象や現実を表している。私自身も都市絵画をテーマに描いているが、とりわけ、シャッター街を多く描いてきた。そこには、かつて人間が生活していた営みの痕跡を見る事ができ、私はそこから、現代に生きる人達が失っていったなにか大切なモノを感じる。多くの都市絵画がそうであったように私は、自身の描く都市絵画に私の生きた社会の現実、そして、その社会の中で生きる私の心象を表現したいと考えている。
また、近年はシャッター街だけではなく都会の風景にも焦点を当て制作を行っている。とりわけ夜を描いた作品が多いが、都会の中にもシャッター街のように何か忘れられていくモノがあるのではないかと考え制作を行っている。私たちが生きていく都市の中で失われていったモノはいったい何なのか・・・私は絵画制作を通してそれを探していきたいと思う。
展覧会、研究発表、プロジェクト活動等
- 2014年
3月 博士後期課程修了 博士号取得 論文「松本竣介の心象-1941年以降都市風景画作品を中心に- - 2013年
- ″明日へのメッセージ2013”―作家の視点― 2013年11月19日(火)~24日(日) グループ展
福岡市美術館 - 「crossing 内田太郎 斉木駿介 吉井宏平」 アートスペース羅針盤 グループ展
(東京・京橋) - 第12回南島原市セミナリヨ版画展
- 2012年
- クリスマスハート展 アートスペース羅針盤 グループ展 (東京 銀座)
- 第8回大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ
- 清須市はるひ絵画トリエンナーレ
《忘却の街》
- 吉井宏平Exhibition Gallery銀座フォレスト 個展 (東京 銀座)
- Kohei Yoshii Exhibiton Art pro GALA 個展(福岡)
- 第30回~明日をひらく絵画~上野の森美術館大賞展
《あの日の記憶》
- 第11回南島原市セミナリヨ版画展
- 2011年
- 第29回~明日をひらく絵画~上野の森美術館大賞展
《記憶》
- 2010年
- 第28回~明日をひらく絵画~上野の森美術館大賞展
- 吉井宏平絵画展 Gallery SEL 個展 (福岡)
- 別府アジアビエンナーレ2010絵画
《あの日・・・》
- 2009年
- GALA Selection 2009 Xmas展 Art pro GALA グループ展 (福岡)
- 九州産業大学卒業制作
- 第27回~明日をひらく絵画~上野の森美術館大賞展
- 2008年
- ビエンナーレKUMAMOTOⅣ
- アクリル美術大賞展2008
- 第17回青木繁記念大賞公募展
受賞
- 第12回南島原市セミナリヨ版画展 長崎県教育委員会賞
- 清須市はるひ絵画トリエンナーレ 優秀賞
- 第11回南島原市セミナリヨ版画展 読売新聞長崎支局賞
- アクリル美術大賞展2008 美術の窓賞