論文構成
不鮮明のデザイン──過剰可視化社会における写真表現の可能性
論文・作品
CONTENTS
- 第1章 序論:なぜ、いま“不鮮明な顔”なのか
- 第2章 理論的枠組み:イメージと匿名性の思想
- 第3章 プロフィール写真文化と視覚的自己呈示の変容
- 第4章 調査と分析:不鮮明な顔写真の心理的影響
- 第5章 制作研究:ポートレート写真としての“不鮮明さ”
- 第6章 結論と展望
第1章 序論:なぜ、いま“不鮮明な顔”なのか
1.1 研究背景
- SNS文化、プロフィール写真の変化、顔を隠す行為の拡大
- 過剰可視化社会と自己像への負荷(美意識・比較社会)
1.2 問題意識
- 顔を出さないこと=逃避か?戦略か?新しい表現か?
- 可視化圧力が心理状態と自己表象に与える影響
1.3 研究目的・問い
- 「不鮮明さ」が回避なのか、新たな自己呈示なのかを検証
- 写真制作を通してその表現的意義を探る
第2章 理論的枠組み:イメージと匿名性の思想
2.1 視覚文化史の中の“不鮮明性”
印象派/ピクトリアリズム/荒木経惟/現代SNS文化までの系譜
2.2 匿名性・自己呈示の理論
ゴフマン、タービン、SNS心理学(self-presentation, curated identity)
2.3 可視性と権力
ミシェル・フーコー、ハン・ビョンチョル「透明社会」
→ 見えすぎる社会と精神的圧迫
2.4 美学と曖昧性
「欠損」「未完」「曖昧さ」「ノイズ」に関する美学理論
第3章 プロフィール写真文化と視覚的自己呈示の変容
3.1プロフィール写真とは何か──定義・背景・視覚文化史
3.2 プロフィール写真の歴史的変遷
(証明写真 → 自撮り → フィルター文化 → 不鮮明写真)
3.3 顔を出さない文化の拡大
VTuber、スタンプ顔、モザイク文化、引きこもり的匿名ではない存在方法
3.4 不鮮明性の機能
防御・負荷軽減・距離の確保・選択的開示・新しい自己像
第4章 調査と分析:不鮮明な顔写真の心理的影響
4.1 調査目的
なぜ人は不鮮明な顔写真を選ぶのか
受容者側はどう感じるのか
4.2 調査方法
オンライン調査・アンケート・写真比較実験・インタビュー
4.3 分析・考察
安心感/抵抗感/親密性/距離/自己防衛感覚
完全匿名とも露出とも違う「中間領域としての存在様式」
第5章 制作研究:ポートレート写真としての“不鮮明さ”
5.1 制作意図
不鮮明性を美学・心理・社会性の交差点として扱う
5.2 制作プロセス
撮影方法(ブレ、ボケ、ノイズ、AI変形など)
モデル選定、展示形式、観者との距離設計
5.3 制作作品の分析と検証
制作前後のモデルの心理変化
観者の受容分析との照らし合わせ
第6章 結論と展望
6.1 研究のまとめ
不鮮明な顔の意味:逃避 → 選択された表現 → 文化的現象
6.2 社会・デザイン研究としての意義
“顔を出さない”ことの再評価
SNSにおける自己表象の新しい倫理・美学モデル
6.3 今後の課題
国際比較、生成AI時代のアイデンティティ、写真実践の深化